リウイルトラストが南大阪で中古物件の「買取再販」に注力する理由…サイト上で物件の固定資産税額まで開示の画像1
リウイルトラスト代表・岩本浩二氏

●この記事のポイント
・南大阪で中古住宅の買取再販事業を展開するリウイルトラストは、築20~50年の物件を買い取り、社内建築部門で徹底的にリフォームして販売する。昭和40~50年代の大規模分譲開発の世代が高齢化し、資産処分目的の売却ニーズが増加。
・一方、新築価格高騰で、年収400~500万円層の若年世代や外国人購入者(中国人が2~3割)が中古を選択。仲介では収益が低く、クレーム対応も難しいため、付加価値を付けた再販モデルへ転換。
・公式サイトでは用途地域や固定資産税まで公開し、営業不要で売れる体制を構築。高齢化・不動産高騰の時代に適合するビジネスモデルとして成長している。

「岸和田だんじり祭」で知られる岸和田などの南大阪エリアは、地元住民が同じエリアの職場に勤務する地元志向が強いといわれる地域である。そんな南大阪で不動産事業を展開するのが株式会社リウイルトラストだ。通常の不動産業者のように売買・賃貸の仲介ではなく、中古物件を買い取り、リフォーム・リノベーションして販売する「買取再販」を主軸とする。高齢化で住民による販売ニーズは高まる一方、昨今の不動産価格高騰で中古を検討する買主が多く、中古市場は活発化している。近年では中国人の買主も増えているようだ。代表の岩本浩二氏に取材し、リウイルトラストの事業内容と、南大阪での再販事業に注力している背景を聞いた。

目次

資産を処分したい高齢の売主と、中古住宅を求める現役世代

仲介手数料だけでは成り立たたない

公式サイト上では、できるだけ多くの情報を開示

資産を処分したい高齢の売主と、中古住宅を求める現役世代

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 リウイルトラストは堺市、和泉市、岸和田市、泉南市など南大阪エリアで事業を展開する。買取再販が中心で、築年数20~50年の中古住宅を買い取り、社内の建築部門が建物点検・インスペクションのうえ、改装工事を行い再販している。南大阪エリアでは昭和40~50年代にかけて大規模な分譲開発が行われたこともあり、近年では高齢化した住民による売却のニーズが増えているという。

「南大阪エリアではかつて、駅から離れたバス圏を中心に大規模な分譲開発が行われました。若い時にそうした物件を買った方々が、『高齢者施設に入るために家を売りたい』『相続した家を売りたい』など、高齢化に伴う理由で売り出そうとしています。昔は都市部や、より条件の良い家への住み替えを機に売りたいという若年層が多かったのですが、そうした売主は近年では減少しています」(岩本社長)

 売主の目的は主に資産処分のようだ。では、リフォームした中古物件の買主はどういった層が多いのか。同社の公式サイトを見ると、中古の戸建住宅やマンションを掲載している。価格帯は1000万円未満から6000万円以上の物件までさまざまだ。

「近年の不動産価格高騰で都市部の新築は5000万円超え、7000万円超えが当たり前となっている一方、南大阪の中古物件なら1000、1500万円でも良質な物件を手に入れることができます。一帯の平均年収は400~500万円が相場ですので、新築を購入しづらい若年層が中古物件を購入しています」(同)

 東京都内の不動産価格高騰がよくメディアに取り上げられるが、2015年以降、東京に限らず大都市圏では不動産価格は急上昇しており、中古を検討する現役世代は増えている。

仲介手数料だけでは成り立たたない

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 リウイルトラストは2001年設立。不動産業者のなかには売買や賃貸の仲介、管理などを手がける業者が多いが、なぜ同社は買取再販に注力しているのか。

「南大阪で中古物件を扱う場合、物件によっては大阪市内と10倍の価格差があります。仲介業務の内容は価格にかかわらず同じですが、仲介手数料は売買金額と連動する仕組みなので、仲介に特化した場合、収入は大阪エリアより低くなってしまいます。

 また、中古物件では冷蔵庫による電気焼けや畳の日焼けなど、経年劣化によるクレームが買主から一定数出てきてしまいます。仲介手数料でクレーム部分の修理費を賄うことはできないため、リフォームして再販するビジネスにしようと考えました」(同)

 リフォームでは外装はもちろん床下や屋根裏など見えない部分まで、至る所の劣化部分を直すという。リフォームによる再販事業を主軸としてからクレームもなくなり、口コミによる紹介も増えたようだ。顧客志向をつき進めた結果、買取再販モデルに変化した。

 ちなみに、岸和田のだんじり祭が盛り上がりを見せるように、南大阪の住民は地元志向が強いといわれる。大阪市内に通勤する住民も一定数いるが、同じ地域に通勤する層が多いという。一方で外国人の購入者も増えている。

「近年では中国人の購入者が急増し、概ね2~3割を占めている感覚です。彼らの半分は居住目的で、もう半分が投資目的と見られます。投資目的の方は同じ中国人コミュニティ内で民泊営業や転売を行っているようです」(同)

 首都圏では都心のタワマンから埼玉の中古物件まで、中国人購入者の存在感が増しているが、南大阪でも同様のようだ。在日中国人は近年約5万人のペースで増えており、現在では約87万人いる(令和6年末時点)。彼らはSNSでつながっており、食料品から不動産の売買に至るまで同コミュニティ内で完結する経済圏を築き上げているといわれている。

公式サイト上では、できるだけ多くの情報を開示

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 リウイルトラストの公式サイトでは物件情報を公開している。掲載手数料は取らず、掲載費は仲介手数料に含まれている。最低限の情報しか載せない業者も多い中、同社では写真や間取りなどの基本情報のほか、用途地域や固定資産税額まで記載している。

「多くの業者は隠したいところを表示しませんが、弊社ではできるだけ公式サイト上で開示します。他社のサイトでは固定資産税まで載せません。情報を充実させ、購入希望者がサイトを見ただけで購入を決め、営業しなくても売れるように心がけています。

 また、私は開業前に登記の仕事をしており、不動産情報を深掘りして調査するようにしていました。ありとあらゆる情報を調べ上げて積極的に開示するクセが身についており、社員にもその姿勢を共有しております。そこが弊社の強みだと考えております」(同)

 営業の気合と根性で乗り切る不動産業者が多い一方、情報を調べ上げ、買主に開示する点が強みであると岩本社長は主張する。高齢化社会で空き家問題が取り沙汰されるなか、不動産高騰は依然として続いており、中古物件を検討する買主も増えている。リウイルトラストの買取再販事業は、現代の売主と買主のニーズにマッチした事業といえるだろう。

(取材・文=山口伸/ライター)