
●この記事のポイント
・高齢の入居者の比率が高い傾向がある高齢マンションをめぐる問題が全国で続出
・管理組合が億単位の修繕積立金を管理会社に着服されたり、メンバーの高齢化によって管理組合が機能しなくなり、管理会社が“逃げ出す”ケースも
・セカンドオピニオンや管理組合運営事業者の利用も方策
高齢の入居者の比率が高い傾向がある高齢マンションをめぐる問題が全国で続出している。国土交通省「マンションの適正管理及び再生に向けた検討の方向性」によれば、築40年以上のマンションは現在(2023年末)の約137万戸から、20年後には約3.4倍の約464万戸に増加する。こうしたマンションでは世帯主が70歳以上の住戸の割合が5割超となっているというが、管理組合が億単位の修繕積立金を管理会社に着服されたり、メンバーの高齢化によって管理組合が機能しなくなり、管理会社が“逃げ出す”ケースも出ているという。背景には何があるのか。また、こうしたトラブルを回避するためには、どうすればよいのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
●目次
多額の積立金を扱っているという管理組合の特性
マンションの管理組合が管理会社によって積立金を着服されるなどの被害に遭うケースというのは、なぜ起きるのか。不動産事業のコンサルティングを手掛けるオラガ総研代表取締役の牧野知弘氏はいう。
「マンション版振り込め詐欺のようなこうした事例は、最近目立つようになってきています。ここ数年、高齢者が犯罪者のターゲットになることが問題化していますが、管理組合も高齢化しており、加えて相当な金額の積立金を扱っているので、そこにつけ込むというかたちです。もっとも悪質なのが、管理会社が管理組合の積立金を着服するというケースですが、悪質なコンサルタントのような人物が実質的に管理組合のお金を差配して私文書を偽造してしまうケースもあります。また、『積立金を運用して差し上げます』とつけ入って、勝手に運用して損害を与えたり、大規模修繕を行うときに建設会社などと謀って談合して多額のキックバックを得るという手口もあります」
こうした被害に遭わないために、どうすればよいのか。
「何でもかんでもすべて疑い始めると仕事にならなくなりますし、理事長と理事だけで対処するには限界があるので、専門家に頼むというのが一つの回答になるわけですが、専門家を名乗る詐欺師的な組織もあるので、なかなか難しいです。一つの方策としては、セカンドオピニオン的なものを必ず取るようにするということ、もう一つは、しっかりとした基盤と実績を持つ、管理組合運営を受託する事業者に管理を任せるという方式も、最近では増え始めています。理事のなかに建築業や設計に知見を持つ人がいない限り、大規模修繕などの見積もりが高いのか安いのかを判断するのは難しいので、しっかりとしたセカンドオピニオンを求めるというのは重要です。
業者から提示される見積もりが妥当なのかを見抜くことは専門家以外の人はできないので、多少コストがかかっても第三者的な機関に依頼することによって大きな被害を防ぐということが非常に求められてきたと感じます。老朽化したマンションほど住民が高齢化している傾向があるので、外部の力を借りて備えるということが大切です」
マンションの自主管理は困難
高齢マンションでは、他にもトラブルが増えているという。
「管理組合を構成するメンバーが80代、90代と高齢になって、管理組合自体が全く機能していないマンションというのが出始めています。築年の古いマンションで、かつ小規模な物件になると、理事長や理事の成り手がいないという事態が出始めています。管理会社は自ら物事を決めるのではなく、あくまで管理組合に提案をして決裁してもらわないと何もできないので、責任を持って管理できないということで、管理会社が再契約をせずに撤退するマンションも出始めています。そうなると自主管理という形になりますが、管理会社が逃げてしまうようなマンションを自主管理するのは難しいので、高齢化が原因で何も意思決定ができないようなマンションは、さらに老朽化が進んでしまいます。最終的にはスラム化するマンションが増えて社会問題につながる可能性もあります」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=牧野知弘/オラガ総研代表取締役)